王子は香水姫を逃さない

 「話さないと、自分で何かしようとするだろう。私に会うためだけにバージニアに来るはずがない。ロゼリア、君は私が、君のどこに惚れてるかまるでわかってないようだな。君の先を見据えた行動力も美しい容姿と同じくらいの魅力なんだぞ。」

 手をぎゅっと握られて、こんなことを言われるなんて、まるでプロポーズみたい。恥ずかしくて、目を合わせていられない。
 
 「……で、君は何を企んでる?」
 さすがだわ、見破られてる。
 
 「私は、交易独占を条件に婚姻による同盟を無くしてもらうのが最終目標です。商品を優先的にバージニアに下ろすこと、いずれはこちらに蒸留技術を教えること、我が公爵家の馬を輸出することなどを条件にします。」

 我が公爵家では、馬を育てている。王室にももちろん出している。
 これは、私の力も利用している。馬の制御はロンを通じて行うので、間違いはない。
 また、長年の知識もある。血筋もある。実はお祖母様も馬が守護動物だったのだ。
 
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