王子は香水姫を逃さない
「なるほどな……、さすが、ロゼリア。私を渡すつもりはさらさらなかったんだな。」
うれしそうに輝く笑顔で私を見つめ、手を引かれ胸に抱き込まれた。
カモミールの香りに包まれて、うっとりすると、顎を掴まれ、キスされた。
唇が首元、胸元に移り、昨日のキスマークにまた上からキスされた。
「我々の計画が進む前に、お互い障害が出来た。それをなんとかしないとな。君の場合は、皇太子に他国の姫との縁談を先に進めさせるしかない。」
「でも、どうやって……。」
「謁見式の際に、剣術試合もある。隣国の姫も来るらしい。皇太子が模範試合をするからな。私に考えがある。」
「それは、そうとして、殿下がシルヴィア様と……その方が先かもしれません。私も王妃様から王様にご紹介頂いたので交易について話してみます。」
「その件は、父王に事前に相談して書簡をもらったほうが話しやすい。任せてくれないか。」
そう言われればその通り。伯爵令嬢が勝手に交易できない。
頭に血が昇り大事なことを忘れてたわ。