王子は香水姫を逃さない
 
 私は少し距離があったので、その場で膝をおり、丁寧にお辞儀をした。
 馬に乗る格好だったため、軽装だった。
 
 皇太子は、いったんジョアンナ姫の手をほどき、こちらへ向かって歩いてきた。
 「馬で来たのか?驚いたな。」
 「はい。皆様お忙しいでしょうし、馬に乗れるのでその方が早いと思いまして。」
 
 「どなたですの?」
 ジョアンナ姫が私をじっと見つめて尋ねた。
 「エセン国のロゼリア伯爵令嬢だ。」
 
 「え?……伯爵令嬢?失礼ながら拝見したところ、町娘のような……。」
 「はい。私は、商いのため城下の商家で暮らしております。貴族とは名ばかりでございます。」

 「ロゼリア。余計なことは言わなくて良い。この間の部屋で着替えて待っていてくれ。ジョアンナ姫ご案内いたします。」
 皇太子は、ジョアンナ姫に手を差し出し、エスコートして城へ入っていった。

 城に入り、前と同じ部屋へ案内されると、湯浴みし着替えのドレスをまとった。今日は、水色のドレスだった。
 髪も緩くウエーブをかけて、2つにまとめて、耳の後ろに流した。
 先ほどは、1つにまとめてお団子にしていたので、別人のようになった。
 
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