王子は香水姫を逃さない

 ノックの音がして返事をした。

 振り向くと、近衛隊の制服を着たアーサーが立っていた。
 久しぶりに見た、軍服姿。相変わらず素敵だわ、と見惚れていたら、彼も私を見つめたまま、固まっている。
 
 「どうされましたか?……アーサー様。」
 アーサーは、かけよってくると彼女を抱きしめた。
 
 「そのドレスとても君に似合う。きれいだ。」
 ロゼリアもアーサーの身体に腕を回して抱きしめた。

 「それを言うなら、私もアーサー様のお姿にほれぼれしておりました。」
 
 顔を上げてアーサーを見つめながら言うと、アーサーの顔が近くなり、目を閉じると唇に暖かいぬくもりが落ちてきた。
 「今日は、皇太子の招待で来たのだろうが、シュルトの姫も来ているので、ロゼリアの相手をする時間はなさそうだな。安心だ。」
 
 「その姫でしたら、先ほど城門のところでお目にかかりました。お若い姫様でしたね。皇太子様が迎えに出ておられました。」
 「そうか。この国へ皇太子に嫁ぐつもりで来ているのだ。王もそれで招待したのだろう。」
 
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