王子は香水姫を逃さない

 「ディルクよ。そなた付きとなる者との関係はどうだ。」
 「はい。良好です。」
 
 「お前の隊には、私に付き従う者達の子供もおる。彼らは息子の出来を楽しみにしているようだったので、今日は警備をしながら子供の模擬試合は観戦を許可する。警備に不備のないよう、組み合わせてあるな、ノートン」

 「はい、王様。」
 王のそばにいる、紫の制服を着たノートンといわれる隊長が返事をした。
 
 皇太子がピアース隊長に目配せすると、全ての隊員が敬礼し、王に向かって膝をついた。
 そして、王が手を上げると全員が立ち上がり、2つの円に2列ずつ別れていった。

 皇太子とピアース隊長が2つの円に合図をし、それぞれが模擬試合を始めた。
 剣術の試合だ。勝ち残りの対戦で、それぞれ5人待機し、次々と対戦していく。
 
 大きな歓声が上がり、家族は名前を呼んで応援している。
 また、紫の制服の人も、自分の子供が試合中は家族のほうへ行き、妻や子供と一緒に息子の試合を応援していた。
 
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