王子は香水姫を逃さない

襲撃事件


 そのとき、ロゼリアの横を光るものが通り過ぎた。
 「あっ!」
 ロゼリアが叫んだ時には、客席に背を向けていた皇太子の背中に向かって矢が飛んでいくのが見えた。
 
 アーサーは正面から矢が飛んでくる音がしたのに気づいて、皇太子に身体ごとぶつかり、かばった。
 皇太子はアーサーに覆い被さられて横に倒れた。
 そのときには、振り向くと矢が地面に刺さっていた。

 刺客だー、という声がして、客席の後ろで大きな物音がした。
 剣を抜いた者達が振りかぶって、こちらに来るのが見えた。20人くらいはいる。
 
 周囲の護衛を切り捨てながら、王や王妃の方へ剣を振りかざして降りて来た。

 アーサーは、「皇太子様、王族の方々をこの円の中に誘導してください。」と言いながら、自分から近衛の者達と協力して来賓客も円の中に入れた。

 キースに目配せすると、キースは私達の腕を引いて、円の中に入れた。
 私達も円に入るのを見届けて、アーサーは円の外に出た。指を立てて呪文を唱えると、円の下に魔方陣が現れ、光に包まれる。
 一瞬浮遊感があり、気づくと王宮内に移動していた。


 
 
 
 
 
 
 
 
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