王子は香水姫を逃さない

 アーサーが転移の魔術を使ったようだ。
 円の中にいた、王族や来賓の者達は、何が起きたのかわからず、呆然としている。
 
 「……どういうことだ。だれが転移の術を使ったのか。」
 王様がつぶやいた。
 
 「アーサー王子のようです。とにかく、安全な部屋へ移動しましょう。」
 ノートン隊長は王に答えると、皆を地下の防御室へ誘導した。

 ロゼリアは、ロンに心話で話しかけた。
 競技場の隣が馬場になっているので、ロンはノエルと話しながら、アーサーらの気配を感じていた。
 
 残った近衛と一部の反逆者が戦っていたが、試合の疲れもあり、押され気味だった。
 アーサーは魔力も使い、ふらふらだったが、キースがかばっていた。
 
 ロゼリアは地下へ行かずに、エリンと王宮を出ると、馬場に向かい走り出した。
 すぐに、ロンを通じて馬達に指示を出し、繋がれている馬達をエリンと手分けして解放した。
 
 素早くロンに騎乗し、ノエルと並ぶと、ロンが馬達に私の意思を伝えてくれたのか、競技場へ他の馬達20頭くらいが付いてきた。
< 62 / 92 >

この作品をシェア

pagetop