王子は香水姫を逃さない
斬り合いをしている中へ走って行き、ノエルに気づいたアーサーは騎乗して、それ以外の馬も自分の主を背に乗せた。
他の馬達も戦場をかき乱して、敵を蹴散らした。
ピアース隊長の指示で敵をひとところに集めて縛り、事態はようやく沈静化した。
騎乗者のいない馬達は、興奮して走り出したが、ロンが心話で落ち着かせたので、ロゼリアは裸馬達をまとめて馬場へ誘導し始めた。
皇太子が配下からの連絡で競技場に戻ってきた。
ロゼリアがドレスを破って馬に乗り、他の馬を調教しながら先導しているのを見て、呆気に取られた様子で見つめている。
ピアース隊長が皇太子の側に来て、状況報告をしはじめた。
アーサーは、ノエルがロンの方に首を巡らせたので振り返って見るとそこにはロゼリアがいた。
急いで駆け寄り、ロゼリアに叫んだ。
「ロゼリア、まさか君がやったのか?馬達を率いて……。」
ロゼリアは、ニッコリと笑いながらアーサーを見た。
「何をしてるんだ、危ないことはするなよ!わざわざ一緒に転移させたのに。戦場に刀もなく戻るなんて、何を考えてるんだ!」