王子は香水姫を逃さない
何でそんなに怒るの?
悔しくて思わず噛み付くように言い返した。
「アーサー様こそ、皇太子様だけでなく、皆様を危険からお救いしたせいで、フラフラでしたよね。私はアーサー様を助けたくて……。」
「ロゼリア……君という人は。あとでゆっくり教えてあげる。覚悟しろよ。」
隅ではキースとエリンが抱き合っていたのだが、主人達は、口喧嘩しながら馬を戻したのである。
皇太子は、そんな2人を後ろから見つめていた。
王宮に戻り、ロゼリアは部屋に通された。
ドレスも土まみれにした上、生地も破ってしまい、ひどい有様だった。
そのため、湯浴みし着替えさせてもらった。
夕刻になり、反乱について背景がわかるまで、招待客も城を出ることが禁じられたと報告があり、部屋に留まるよう指示された。
その頃、アーサーはバージニア王と皇太子、近衛隊長2人に呼び出されていた。
「アーサー王子、此度は皇太子を庇い救ってもらったこと、我々を王宮に避難させてくれたこと、礼を申すぞ。」
「王様、お役に立ち何よりでした。」