王子は香水姫を逃さない

 何でそんなに怒るの?
 悔しくて思わず噛み付くように言い返した。

 「アーサー様こそ、皇太子様だけでなく、皆様を危険からお救いしたせいで、フラフラでしたよね。私はアーサー様を助けたくて……。」
 「ロゼリア……君という人は。あとでゆっくり教えてあげる。覚悟しろよ。」
 
 隅ではキースとエリンが抱き合っていたのだが、主人達は、口喧嘩しながら馬を戻したのである。
 皇太子は、そんな2人を後ろから見つめていた。
 
 王宮に戻り、ロゼリアは部屋に通された。
 ドレスも土まみれにした上、生地も破ってしまい、ひどい有様だった。
 そのため、湯浴みし着替えさせてもらった。
 夕刻になり、反乱について背景がわかるまで、招待客も城を出ることが禁じられたと報告があり、部屋に留まるよう指示された。

 その頃、アーサーはバージニア王と皇太子、近衛隊長2人に呼び出されていた。

 「アーサー王子、此度は皇太子を庇い救ってもらったこと、我々を王宮に避難させてくれたこと、礼を申すぞ。」

 「王様、お役に立ち何よりでした。」

< 64 / 92 >

この作品をシェア

pagetop