王子は香水姫を逃さない
「どうやら、刺客はシュルト国の者のようだ。かの国は内紛があり、王は穏健派で姫を嫁がせるつもりだったが、強硬派の大臣が姫の護衛に手の者を紛れ込ませ、皇太子暗殺を計っていたようだ。」
「そうでしたか。とりあえずは、皇太子がご無事で何よりでした。王様も。」
王は皇太子のほうを見て、うなずいた。
「アーサー王子。助けてもらったことには礼を申す。そなたがいなければ私は殺されていたと思う。それと、もう1つ確認したいことがある。我らを競技場からこちらへ転移させたのはそなただな。」
アーサーは、皇太子をじっと見据えながらうなずいた。
「魔術がこれほどに使えるとは、聞いていなかった。君が味方だったから許せるが、逆の立場で話を聞くこともなく使われたらとしたら君ならどう思うだろうか。」
「まず、事前に私の能力についてお話していないのは、我が国の事情です。それについては、ご理解頂けるのではないでしょうか。」
バージニア王は、アーサーに向かってうなずいた。
「エセン国王にとっては重大な秘密の1つだろう。ただ、そなたはその秘密をばらしてしまった。そのことは、大丈夫なのかね。」