王子は香水姫を逃さない
 そのために、考えた秘策を持って、バージニアに行くのだ。父上には相談済み。
 
 「お前は、頑固だからな。こうと決めたら、てこでも動かないのは小さいときからわかっている。
知り合いのお店にお前を下宿させてもらえないか聞いてみたところ、昨日良い返事をもらっている。」
 
 「花屋だから、バラはうちのものを安く手に入れることができるし、向こうはずいぶん乗り気だ。
ただし、お前が家事を手伝うことも条件だそうだ。大丈夫なのか?」
 
 一応、今の私は伯爵令嬢。家事はエリン達使用人の仕事。実はやったことがないのよね。
 
 「最初は、できないことも多いと思いますが、エリンも行ってくれるので、家事は彼女に教えてもらいながらやっていきます。」
 
 「むこうも、お前の身分はわかった上で話を持ってきているから、きつく当たることはないと信じたい。ただ、下宿させてもらう立場であることを忘れず、謙虚にな。」
 
 お父様は伯爵だけど、身分を笠に着て、使用人にきつく当たることはしない人。
 使用人にも家族のように接しているのを小さいときから見ている。

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