王子は香水姫を逃さない
「いえいえ。お互いの気持ちだけははっきりしているのです。出来ることをするだけですが、彼女だけは譲れません。」
「わかりました。皇太子様の暴挙を止めるようにいたしましょう。アーサー様も、シルヴィア様には気をつけて。」
ピアース隊長はウインクしながら去って行った。
アーサーは、急いで父王と魔術を使い、心話する必要がありそうだと、部屋へ急いだ。
翌朝、ロゼリアが朝食を取り終わり、エリンと話をしながらのんびりと過ごしていると、ノックする音がした。
扉が開き、シルヴィア姫が入ってきた。
「突然のおたずねして、驚かせたかしら?」
「いいえ。」
シルヴィアは、栗色の髪をアップにして、大人っぽい雰囲気の青のドレスを着ていた。
なんだか、ちょっと似合わないなと、思って見つめていると、相手もこちらをじっと見つめている。
「……あの、何でしょうか?」
「単刀直入に言うわ。あなた、アーサー様とどういう関係?」
ロゼリアは息をのんで、シルヴィアの言葉の意味を探した。
「答えられないような、関係なのね。舞踏会で二人が部屋で会っているのを見たのよ。」