王子は香水姫を逃さない
まさか、見られた?どういうこと?
「もちろん、我が国の王子様ですので、良く存知上げております。同じ国のものとして、お声をおかけ頂いただけです。」
挑発にきたのかしら。それとも、脅迫?私とアーサー様との関係を知っているということかしら。
「個人的なお付き合いがあるわけではないのかしら。そんな風には見えなかったけれど。部屋で秘密裏に会うなんて。とても親しそうね。でもそれもどうでもいいの。私は、アーサー様に嫁ぐ。貴女はおそらく兄上の嫁になる。あちらの国との婚姻はなくなったから。」
「どういうことですか?」
シュルト国のジョアンナ姫との婚姻がなくなったの?なぜ?
「昨日の騒ぎは、シュルトの伏兵だったそうよ。ジョアンナ姫も可哀想ね。兄様が好きだったのに。」
なんですって?シュルトの兵だったの?だからって、私が嫁ぐなんておかしい。
「王女様、私が皇太子様に嫁ぐ話は聞いておりません。私にはそのような資格もなければ、身分もありません。」
「ふっ。父上が了承されれば、資格なんて必要ないわ。私も大賛成よ。未来のお姉様。私はエセンへ行くことになるかもしれないけど。貴女と交代でね。アーサー様は私のものよ。諦めてね。」
鼻歌でも歌いそうな顔で、ロゼリアを見つめ、返事も聞かず部屋を出て行った。