王子は香水姫を逃さない
にっこり笑うとキースは頭をかきながら、苦笑いを返した。
「アーサー様から、ご伝言です。エセン国王の許可は得たので、交易の話はできる。ただし一部内容については、姫の考えは却下されたので、バージニア国王には一緒に拝謁し、説得するから動くな。とのことです。」
やっぱりね。さすがアーサー様。手際が早い。お任せするしかないわね。
「わかりました。ご連絡おまちしておりますとお伝えして。」
キースはうなずくと、エリンを見てにっこり笑い、出て行った。
すると、昼過ぎに皇太子が現れた。
ロゼリアは、皇太子の表情から何もかも知られていると身構えた。
「ロゼリア姫。昨日はいろいろ世話になった。馬も君の誘導だったようだな。君にはいろいろ隠している姿があるようだ。」
「……皇太子様、ご無事で何よりでございました。王様、王妃様を始め、皆様何事もなく安心いたしました。」
「私のシュルトとの政略結婚はなくなった。ロゼリア、君を正室に迎えたい。父王にも伝えてある。……アーサー王子にもね。」
ロゼリアの顔を見ながら、最後の一言を付け加えたのは、明らかだった。