王子は香水姫を逃さない
バージニアとの同盟
どうしたらいいの?アーサー様……。
頭の中は真っ白になってしまった。
ここまで執着されるとは予想外で、ただアーサーの縁談を阻止できればと思いこの国に来たが、まさか自分が求婚されてしまうと思ってもみなかった。
かえってアーサーに迷惑をかけている自分に嫌気がさしてきて、泣きたくなった。
ただ、アーサーが自分を渡したくないと思ってくれていることは皇太子の話でわかった。
それを考えれば、どんなことがあってもアーサーを信じて進んでいくしかないと思い直したのだった。
事件が解決したため、城を出る許可が下りた。
その準備をしていたとき、アーサーが訪ねてきた。
少し痩せたように見える。いろいろ大変だったのかもしれない。
「アーサー様。顔色が悪いようです。大丈夫ですか?」
アーサーは、髪をかきあげながら、苦笑いを浮かべた。
「よく見てるね。君のせいだよ、ロゼリア。すっかり寝不足なんだ。交易の件、早くまとめないと王に進言できないからね。父王との打ち合わせの内容を書面にしたり忙しかったんだ。君を奪われないためには急がないといけなかったからね。」