王子は香水姫を逃さない
「申し訳ございません。皇太子様がここまで私との結婚をお望みとは考えていなかったのです。でも、アーサー様のシルヴィア姫との縁談もまだ破棄出来ませんよね。」
「そうだな。だが、それもこれでなんとかなるだろう。まとめてきたから、これを見てくれ。」
渡された用紙には、交易条件とエセン王の印が押してあった。
「交易の条件だが、香水などの作成技術は我が国の特許としたいそうだ。優先的にバージニアに商品を輸出することなら許可するとのことだ。また、馬の育成については、これも育成技術は特許とし、種馬を購入してもらう。それを我が国で育成し、輸出する。」
なるほど。我が伯爵家の家業を守って下さると言うことだわ。
「ありがとうございます。当家の技術を特許化し、お守り下さったのですね。でもこれで納得いただけるのでしょうか?」
「馬については、かなり譲歩している。君の家の馬は非常に素晴らしい。育成に金がかかるのはわかっているし、そのため我が国でも伯爵領の税を免除しているくらいだ。種馬の購入費にのみは安い。購入費を割り増したとしても赤字にはならないが、利益も出ない。馬は貴重だし、戦にも必須だ。」