王子は香水姫を逃さない
バージニア王がロゼリアを見ながら、申し渡した。
「はい。父、エセン王の正式な条件ご提案書をお持ちしましたが、そちらに彼女の同席理由が記載されています。ご高覧ください。」
アーサーは、先ほどの書簡を下がってきたノートン隊長に渡した。
バージニア王は、書簡を受け取り、読み始めた。
静けさがこの場の緊張感を高めていった。
王は、書簡を凝視し、その後アーサー王子をにらむように見た。
そして、大きく息を吐いた。
王は書簡をピアース隊長に向け、ピアースはそれを受け取って、皇太子に渡した。
皇太子が書簡に目を通し始めて、王はアーサーに向き直った。
「見事だな。アーサー王子。この短い間に条約を煮詰めて、エセン王の王印を持ってくるとは。」
王は威嚇するように低い声で話した。すると、皇太子が叫ぶように言った。
「どういうことだ。この、最後の文章は。無理矢理付け足したに違いない。この間はこのようなこと言っていなかっただろう。」
「落ち着け、ディルク。それよりも、交易条件についてだ。」
最後に、王妃も書簡を見ている。