王子は香水姫を逃さない
 皇太子はあきれたように言った。
 「伯爵家の取り潰しもあるかもしれないだろう。伯爵は商品の先駆け販売を許したのか?」

 「もちろんです。父は、元々花の栽培のみをしていましたので、美容関係の商品開発は私が研究して始めたのです。父は、王子とのことを理解しようとしてくれました。こちらに来ることも父だけに本当の理由を相談してありました。」
 
 「よく許したものだ、信じられない。」

 「はい。私もそう思います。ただ、おそらくは馬の成育という重要な仕事がありますので、伯爵という立場がなくなっても生活には困らないと思っていたのではないかと思います。」

 王妃は、王を見ながら話し出した。

 「王様、香水などの優先販売権は絶対手に入れるべきです。相当、売れると思います。本当はロゼリア姫がディルクの正室になってくれたら、技術の独占も出来たのに。娘に出来ないのは本当に残念だわ。」
 
 「母上、諦めませんよ私は。とってつけたような婚約者という言葉は、信じられない。」
 皇太子は大きな声で答えた。

 「落ち着きなさい、ディルク。」
 王が答えた。
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