王子は香水姫を逃さない
 ただ、感謝もされた。
 
 やはり、優秀な魔力を保有する第二王子を他国にとられるのは阻止したかったし、マリー様とどちらを出すか最後まで悩んだこと、私の策がアーサーを最終的に救ったことは有り難かったと礼を述べられた。
 
 その上で、正式に婚約者として迎えるとお約束いただいた。

 最後に驚いたことがあった。
 
 「君の、馬との関係は承知しているよ。君の家の守護精霊は、我が王家にとって非常に重要なものだからだ。君にその能力が備わったと分かったときに、伯爵より報告をもらっている。馬の成育は君の家の重要な仕事だからね。アーサーとの仲は、聞いていなかったが、こうなったことは我が国にとって僥倖といえる。君たちの子供が実に楽しみだ。それと、君の能力をアーサーは知っていたと思うよ。」

 王は、にっこりと微笑みながら私に向かって手を伸ばした。

 「ようこそ、エセン王室へ。王妃や皇太子、妹姫もそなたを歓迎するよ。これからは君のその能力を是非国のために使ってくれ。そして、アーサーをよろしく頼むよ。」

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