もう一度あなたに恋したときの処方箋
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新しい部署に異動してから、私はいつも忙しい。
午前中は時差の関係でスペイン語を使う仕事ばかりだし、いきなりシステム管理部からの緊急連絡が入ることもある。
今日はシステム管理部の仕事が夕方までかかってしまった。
それから事業本部に戻ってきたら、派遣の女子たちからデータ入力が間に合わないと泣きつかれた。
それがなんとか終わって、派遣の人が帰ったところでようやく自分自身の仕事にとりかかる。
私だって早く帰りたいんだけどなと思いながら作業を進めていく。
自動翻訳システムでもかなりできるのだが、せっかくだから血の通った文章にしたい部分もある。
各地から寄せられた造り酒屋の情報を確認していたら、どうにも頭が痛くなってきた。
頭痛というより、ひっつめている髪の地肌が痛い。
くるりと部屋を見回したら、もうみな帰っていて人影はなさそうだ。
(ラッキー)
思いきって髪をほどき、ばさりと下ろすとずいぶん楽になった。
背の中程まである長い髪は、いつも三つ編みにしてからグルグルお団子にしている。
だからウエーブのような癖がついていた。
ついでに度なしの黒縁メガネも外して、眉間をマッサージする。
(完全武装は疲れるのよね~)
これで仕事が捗るぞと意気込んで、再び私はパソコンに向かった。