イケメン検事の一途な愛
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「井川」
「はい」
「今日の送致者名簿」
「あ、はいっ」
「近藤」
「はい!」
「頼んでおいた来週の公判廷に使う判例は?」
「今纏めてます!」
「あと15分やるから直ぐに纏めろ」
「はいっ」
「それと、江東区のひき逃げ事件の現段階での車輌照合の報告書と周辺のNシステムの配置図を午前中に。豊島区の連続空き巣強盗事件の被害一覧と周辺の詳細地図を15時迄に」
「……はい」
「それから、昨日届くはずの検視報告書が未着の件、大至急催促しろ」
「…はい」
「それと、明後日の公判廷間に合うようにこれを追加で証拠申請を頼む」
「……はい」
《井川事務官、久我検事今週荒れてますね》
《近藤君知らないの?久我検事は『死神』と呼ばれてるんだから》
《え?》
《ここ最近は神様みたいに優しかったのに。……すっかり元に戻ったわ》
「丸聞こえだぞ」
「えっ……」
「仕事します!!」
「無駄口叩く暇があるなら、先月の女子大生刺殺事件の再検視の結果を催促しろ」
「ッ?!」
お忍び旅行から帰宅し、翌日の月曜日から通常業務をこなす日々。
担当してる案件が多いため、毎日就業時間内に終わることはない。
彼女も仕事復帰し毎日忙しそうにしてるから、会う時間も無くて。
以前の俺なら仕事で紛らわせていただろうが、今の俺は違う。
どうしてもやりたいことがあるから。
担当している案件は出来るだけ早くに処理したくて。
「近藤、午後に現場検証に行くから準備しろ」
「はいっ」
「あ、それと、井川悪いんだが、ICPO(国際刑事警察機構)に関する書類とNCB(ICPOに加盟している各国に設置された国家中央事務局)に要請する書類を頼みたいんだが」