イケメン検事の一途な愛


暫くは公表を伏せるが、いずれ仕事が落ち着いたら交際宣言してもいいと。
それか、どこかのパパラッチにスクープされたタイミングで認めたらいいから、と。

事務所に損害が被ることも予想されるから、今のうちに稼がないと。

念入りに肌の手入れをして、眠りについた。

*****

ドラマの打ち合わせ。
脚本家との会食。
ラジオの生放送。
バラエティ番組のゲスト出演。
雑誌の取材。
CMの撮影。
役作りのための稽古と訓練。

彼と会う時間を作ろうにも寝る時間さえ惜しいほど目まぐるしく仕事をこなす。
クタクタに疲れ切った状態で帰宅する。
シャワーを浴びる気力もなく、メイクも落とさず寝ることもしばしば。
肌に悪いと分かっていても体が重くて……。
いつの間にか寝入ってしまった。

翌朝、山ちゃんのモーニングコールで目が覚めた。
今日はブライダル雑誌の撮影がある。

「お風呂入らなきゃ……」

土曜日なのにも関わらず、休めそうにない。
彼と会わずに3週間が過ぎようとしていた。

*****

「本当にいつみてもスタイルがいいですよね~羨ましいぃ~~」
「いつもいつも褒めてくれてありがと~」

スタイリストの千佳さんは褒め殺しで有名。
お世辞だと分かっていても、やっぱり嬉しい。

純白のドレスがずらりと吊るされてスタンバイされている。
1、2、3、4、5、6、7、8……数えきれない。
恐ろしいほどの数に眩暈がする。
あれを全部着て撮り終わらないと帰れないってこと?

今日はこの撮影のみの仕事だから、安易に考えていた。
ある意味、拷問だ。
1着で何十、いや軽く百は超えるはずだもん。
今日も帰りは深夜になりそうだ。

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