イケメン検事の一途な愛
「少し休憩入りま~す」
助かった。
ライトの浴び過ぎで目が痛い。
「山ちゃん、目薬ある?」
「あります」
元々ドライアイだから、カメラを見続けると直ぐに目が充血する。
ドラマや映画ならシーン毎に少し気を休めることが出来るが、雑誌の撮影だとそうはいかない。
目薬を差して、少しの間眼を休めていた、その時。
携帯電話にメールを受信した。
『プロポーズをした覚えはないんだけど?』
ん?
何のことだろう?
一瞬、内容が理解出来ずに送信者を再確認。
彼からだ。
プロポーズ?って??
メールをじーっと見つめていると、横から山ちゃんが耳打ちして来た。
「久我さんにみーなのドレス姿送ったんです」
「え?!」
「嫉妬なんですかね?それとも照れでしょうか?」
いつの間に……。
仕事のスケジュールのこともあって、山ちゃんに彼の連絡先を教えてある。
それをこういう使い方するとは。
「でも、この文章を読むと、その気はありそうですね」
「その気って?」
「プロポーズですよ。結婚する気ってこと」
「へ?」
「だって無いなら、綺麗だね~とか素敵だね~とか、似合うよ~とかで十分じゃないですか」
「………そういうもの?」
「はい」
そう………なのかな?
結婚だなんて、考えたことも無かった。
ついこの間から付き合い始めたばかりだし。
しかも、付き合い始めてからその後、一度も会ってないのに。
メールも電話もそんなに頻繁じゃないし。
これって付き合ってるのかすら疑問に思うほどなのに。
結婚って……。
8時間にも及ぶ撮影が終了し、一人控室でぐったりしていると。
コンコンコンッ。
「はい」
ノック音がして、メイク台に伏せた体を起こした、その時。