イケメン検事の一途な愛


「えっ……」
「知らない男の元に逃げないように捕まえに来た」

3週間ぶりに見た彼は、相変わらずカッコ良くて。
不敵に微笑むその笑顔も堪らなくセクシーで。

地獄の撮影現場に白馬の王子様が迎えに来たと思えた。

「どうしてここが?」
「マネージャーさんから、『充電切れだから極上に甘いものを差し入れしてくれ』って」
「えぇ~!」

甘いものは大好物。
疲れが吹っ飛ぶし、嫌なことも忘れられる。

彼の言う『甘いもの』がどこにあるのか?と辺りを見回すが見当たらず。
どこだろ?

「ご褒美はどこにあるの?」

ポケットにでも入ってるのかな?
不思議に思った私は彼の周りを1周した、その時。
ウエスト部分を持ち上げられ、メイク台に座らされた。

すると、ジャケットのポケットから高級チョコレート専門店のチョコレートがお目見え。
あ~、これ食べたかった新商品だ。
彼の指先に完全に視線がロックオンした。

彼は丁寧に箱を開け、ピスタチオのチョコレートを1粒手に取った。
その指先を目で追うと、彼はパクっと自身の口に放り込んだ。

「ッ!!」
「……っまい」

何で食べちゃうの?
私の分は??
たかがチョコレート。
けれど、私にとってはダイヤモンドより価値がある。

次第に涙腺が緩み、視界が滲む。

「ッ?!……ごめんっ」
「うっ……」

彼は焦らしたいのかもしれないが、そんな拷問に耐えれるほど、今は元気じゃないのに。
疲れ切った状態の私は、完全に充電切れになってしまったようだ。

涙がポロポロと零れ落ちて。
彼はそんな私を見て、初めて動揺した表情を見せた。

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