イケメン検事の一途な愛
「これは?」
「……ん?」
背中部分が大胆に開かれビスチェが丸見えの状態の彼女は、俺の指先に触れる部分を振り返るようにして確認する。
「あ、それ……。もりで突かれた傷よ」
「え?」
彼女が言うには、ベトナムで生活してる時に食糧を調達するのに海に潜っていた際に漁師にもりで突かれたと。
淡々と話す彼女。
そんな危険な日常だったのかと思うと胸が締め付けられる。
腰に近いその部分に口づけした。
そんな俺の突飛な行動に動揺しつつも、はにかむ姿がまた一層愛おしく思えて……。
「連れて行きたい場所があるから、あとは着替えれるか?」
「あ、……うん」
*****
「どこ行くの?」
「着けば分かるよ」
車に乗り込んだ俺らはとある場所へと向かう。
マネージャーには自宅まで送り届けて欲しいと頼まれたが、まだ時間も早いこともあり、久しぶりにデートをすることにした。
信号待ちで停車した車内。
俺は後部座席から花束を取り、彼女に渡す。
「わぁ、ありがとう~」
嬉しそうな表情の彼女の頭を優しく撫でる。
「美雨にじゃないよ」
「え?誰かに貰ったの?」
「いや」
「じゃあ、何?……浮気?……あっ!!」
「おっ、分かったのか?」
「休日なのにスーツ姿だからおかしいと思ったんだよね」
何故か、突然鋭い視線を向けて来た。
「またお見合いをぶち壊す任務させる気なんでしょ?」
「ん?」
4カ月ほど前に偶然彼女と再会した、あの日。
見合い現場に登場した彼女は俺の見合いを見事にぶち壊してくれた。
なるほど。
休日にスーツ姿だと、そういう思考になるのか。
彼女の可愛い発想に思わず笑みが零れ出した。