イケメン検事の一途な愛
偽りの恋人、本当の恋人
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「みーなっ、みーな起きてっ!」
「今何時~?」
「そんなこと言ってる場合じゃないんだってばっ!!」
「………へ?」
深夜3時までドラマの撮影をしていた私は、死んだように寝ていたのに。
山ちゃんの熱烈なモーニングコールで叩き起こされた。
ベッドサイドに置かれた目覚まし時計を確認すると、7時20分。
まだ寝れるじゃん。
今日は午後からの仕事だから、昼頃に起きる予定なのに。
連日の過酷な撮影で疲労気味の私は、不機嫌全開で上体を起こした。
「何、……何かあったの?」
ここのところ無かったスキャンダル。
どこかのイカれた俳優やタレントが売名行為で捏造する熱愛報道。
すっかり慣れっこの私は、そんなスキャンダルくらいじゃ動じない。
眠い目を擦りながら、山ちゃんが差し出すタブレットパソコンに視線を落とした。
「えっ……」
「このこと知ってるのって、社長と私と久我さんだけだよね?」
そこに表示されていたのは、拉致後に過ごしたベトナムでの話の一部だ。
「ちょっと待って……」
ベトナムで素潜りをして魚を取ったという話。
それってついこの間、あの控室で話した以外誰にも話してない。
確かにベトナムでの生活は山ちゃんにも社長にも話したけど、背中の傷は彼にしか話してない。
どうして、彼以外の人が知ってるの?
「あっ」
「どうかしました?」
「これ、控室で彼と話してるのをこいつに聞かれたっぽい」
「えっ」
そうだ、そうに違いない。
今注目の俳優 志田淳平25歳。
共演者キラーだと有名で、これまでにも数回、私との熱愛報道も出てる。
だけど、今回は何だか風向きが違う……みたいだ。