イケメン検事の一途な愛
「初めて会った18年前のあの日から、俺にとっては美雨が全てで。俺の人生、キミなしでは考えられない。これからもお互いに支え合って、2人でもっと沢山の想い出をつくって行こう。……僕と結婚して下さい」
用意しておいたジュエリーボックスを開け、彼女に見えるように。
10年前から毎年1粒ずつ購入したダイヤモンドと、彼女と再会した今年は締めくくるかのように大粒のダイヤモンドを。
0.2カラットの小粒ダイヤをエタニティー状に埋め込んだ8ミリ幅の平打ちに、『雨』をイメージした波紋を刻み、中央に大粒のダイヤモンドを施したエンゲージリング。
オーダーメイドで誂えたそれは、彼女への俺の気持ちだから。
この世に二つとない特別なモノを用意したかった。
突然の俺の言葉に手で口元を覆う彼女。
目が潤んでいるのが分かる。
返事がない。
まさか、断るつもりじゃないよな?
微動だにしない彼女に一抹の不安が過る。
「美雨?」
ヤバい。
余裕がない。
完全に焦る自分がいる。
言葉はなくていい。
むしろ、無言で構わない。
これを受け取ってくれさえすれば。
十数秒?
いや三十秒くらい経ったか?
驚く以外、何の反応も示さない彼女に痺れを切らした俺は、深呼吸して彼女のいる階段上へと。
「受け取るの嫌か?」
『ううん』と顔を横に振る。
「じゃあ、今はまだ受け取りたくないとか、心の準備が出来てないとかか?」
再び『ううん』と顔を横に振った。
「ん?………じゃあ、指輪じゃなくて他の物が欲しかったとか?」
完全に彼女の気持ちが分からなくて、パニック状態の俺。
どうしていいか分からず、小首を傾げた、その時。