イケメン検事の一途な愛


「あのねっ、………そのっ……」

彼女は慌ててバッグの中に手を入れた。
そして、取り出し俺の目の前に差し出したものに、俺の思考が完全に停止した。

「本当はねっ、明日からの旅行先で渡そうかと思ってたんだけど……」
「………え?」
「んもうっ、……先越されちゃって大パニックだよっ」
「………フフッ」

俺の目の前に差し出されたのは、ネクタイピンとカフスボタン、それと襟留めがセットになっているアクセサリーボックスだった。

「これ、オーダー品?」
「……ん」
「フッ」

プラチナの土台に雨をイメージしたようなダイヤが散りばめられているデザインで、その独特さからオーダー品だと直ぐに分かった。

「これもオーダーだよね?」
「ん、勿論」

彼女の指が俺の手元の箱を指差している。

「薄暗くてカフスは無理だけど、タイピンなら」

俺はジャケットのボタンを外し、着けているタイピンを外してそれをポケットに入れた。

「ん」

彼女にして貰うために1歩近づくと、彼女は嬉しそうにタイピンを着けた。
そして、箱から指輪を取り出して……。

「もう逃げられないぞ?」
「逃げないよっ!」
「毎日、下心抱いても?」
「バレなきゃ大丈夫っ」
「フフッ、……堂々とアプローチするから覚悟しろ」
「えっ」

彼女の指にいかついほどの指輪を嵌めた。
俺の18年分の愛を込めた印を。

彼女はそれを嬉しそうに指先でなぞる。
そんな彼女を抱き締めて……。

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