イケメン検事の一途な愛
仲のいい友人の間には暗黙のルールがある。
犯罪に手を貸さない、金銭を貸さない、嘘を吐かないという3ルール。
それ以外の頼み事をお願いした対価として、相手の要求を1つ呑むというもの。
「どんな子がいいんだ?」
「そうだなぁ……、あっ、あの子がいい!半年くらい前にあった飲み会に来てた音大卒のバイオニリストの子」
「……あぁ、あの子か。OK、近いうちにセッティングしとく」
「あざ~っす」
「じゃあ、問題の動画送っとくな」
「終わり次第、連絡入れますね~」
「おぅ、悪いな」
電話を切り、再び寝ようと試みるが中々寝付けない。
すっかり目が覚めてしまった。
「シャワーでも浴びるか」
気怠い体をリセットしようと浴室へ向かう。
***
濡れた髪をタオルで拭きながらミネラルウォーターを口に含む。
ベッドに腰かけ、携帯電話を立ち上げると。
「フッ、……仕事が早いな」
皆川からの完了メールが届いていた。
『お疲れ様。本当に助かったよ。早急にセッティングするから。それと、この件に関しては他言無用で頼む』
一応、念押しを。
削除しても話をぶちまけられたら元も子もない。
『分かってますって。ってか、あの女性って、女優の来栖 湊?外野の音声拾ったらそう聞こえたんですけど』
触れて欲しくない所を突いて来やがった。
『ノーコメント。遅いから早く寝ろ』
検事としての模範解答というより、一人の男として触れない方が妥当だと脳が判断した。
『うぃ~っす、先輩も早めに休んで下さい』
皆川がさっぱりした性格で助かった。