イケメン検事の一途な愛
午前9時過ぎ、マネージャーの山ちゃんが迎えに来た。
久我検事からメールを貰った直後に、マネージャーと事務所の社長にはその旨を連絡入れておいたこともあり、山ちゃんの表情も落ち着いている。
「みーな(湊を呼ぶ愛称、ファンが付けたもの)、久我さんはどうやって即効で削除したんですかね?」
「分からない、謎だよね」
「やっぱり、弁護士じゃなくて検事だからですかね?」
「どうだろ」
何かとスキャンダルが多い私は、しょっちゅう事務所の顧問弁護士にお世話になってるけど。
検事とは会うこともないから、その即効性は知る由もなく。
ただ言えることは、彼が私をあの場で助けただけでなく、アフターフォローまで完璧にこなしてくれたという事。
御礼を言っても言い足りない。
食事とネクタイくらいじゃ、全然足りなさすぎる。
マネージャーが運転する車で、ドラマの役に必要な訓練をする為、とある場所へと向かった。
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緑に囲まれた郊外の練習場。
静けさと乾いた破裂音が数珠のように連なり、張り詰めたような緊張感に包まれる。
次回作のドラマで、殺人鬼のようなスナイパー役を演じる。
その役に必要な訓練として、クレーン射撃を半年前から行っている。
グリップを5本の指でしっかり握り、肩口に当て構え、銃口を持ち上げ狙いを定め、トリガーに人差し指を掛けコールすると、それまでの緊迫感がパンッという音と共にクレーを撃ち割ると一気に解放される。
元オリンピック選手をコーチに迎え、週2回のペースで腕を磨いてきた。