イケメン検事の一途な愛
2時間半の練習を終え、銃のグリップが当たる肩口に鈍痛が走る。
それと、普段使いなれない下脇腹に筋肉痛のような痛みも。
「お疲れ様でした」
「体解してゆっくり休んでね」
「有難うございます」
弱音は吐けない。
やると決めた役を疎かには出来ない。
引き受けた以上、とことん自分を追い詰めてやれるだけのことはやる、そう決めている。
次の仕事現場に向かうため、車に乗り込んだ。
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「もう少し長めの方がいいかな」
「こっちのブーツよりこの型の方が合いそうね」
「ん、その方がいいかも」
スタイリスト2人が、用意された衣装をもとにシーン別の組み合わせを決めている。
マネキンと化した私は、言われるままに衣装に着替え、何ポーズか簡単な写真を撮り、それを何十回も繰り返す。
2時間ほどの打ち合わせを終え、次はヘアスタイルとカラーを決める予定。
監督からの要望のイラストをもとに、用意されたカラーのウィッグ被る。
普段はヘアサロンで働く美容師という設定なので、個性的なヘアスタイルが求めらるらしく…。
長さはもちろんのこと、今のキラャメルブラウンのカラーも一新しないとならない。
今までの役でブロンドや白髪はしたことあるけど、さすがにイラストのようなピンクやグリーンアッシュ系は染めたことがない。
「とりあえず、第一候補はグリーンアッシュかな。第二でシルバーブルー、第三がピンクアッシュって所かな」
「じゃあとりあえず、今日の所はスモーキーピンク系にしてみます?明日も打ち合わせって聞いてるので、戻すのは明日にすればいいですし」
「そうだね」