イケメン検事の一途な愛
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思い出のプラネタリウムを満喫した私は、大好きな桜色の傘を差して余韻を味わう。
すっかり忘れていたあの頃の幸せな時間を。
海外生活が長かったこともあり、日本語は話せても学校の勉強まではついていけなくて。
学年トップの男の子に毎日のように勉強を教わっていた。
薬の副作用で太り易い体質だと彼のご両親が教えてくれたが、それを揶揄うみたいにいじめる同級生の子が多くて。
日本人はそれほど肥満体形じゃないけど、外国に行けば太ってる方がモテて人気者になる国だってある。
だから、太っていようが色黒だろうが、見た目で判断するのは馬鹿げてる。
人にはいい所が沢山あって。
それぞれに個性だって多様だ。
だから、本質の部分で彼に惹かれてたんだと思う。
毎日丁寧に勉強を教えてくれるほかに、色んな所に連れてってくれたし。
何より、雨の日に外出したがらない友達が多い中、彼はいつだって笑顔で付き合ってくれた。
そんな彼との思い出の場所がここ。
そろそろ帰らないと、心配かけちゃう。
居候の身であちこち歩き回って、万が一『来栖 湊』だとバレたら大変だ。
踵を返して駅へと向かおうと、歩き出したその時。
目の前の人物に足が止まった。
「久我さん?」
「………湊?」
やっぱりそうだ。
いるはずのない人がそこにいた。
話を聞くと、昔よく来ていた場所らしく、完全にプライベートらしい。
男性が1人で来るもの何だか可愛らしいけど、デートではないと聞いてホッとする自分がいた。