イケメン検事の一途な愛
隠しきれない想い
何年もあらゆる手を尽くして探したのに見つからなかった彼女が、今目の前にいる。
昔の記憶が無かったと言っていたから、あれこれ聞くのも失礼だと思って控えていたが。
まさか、こんな近くにいただなんて……。
目の前にいる彼女は昔と変わらず水玉柄の服を着て。
大好きな桜色の傘を差してーー。
ヤバい。
マジで泣きそう。
嬉しさを遥かに通り越して、言葉に言い表せないほどの感情が溢れ出す。
俺の顔を見上げる彼女に近づく。
差している傘を手離し、彼女の背に手を回し抱き寄せ、彼女の肩におでこを乗せた。
動揺している顔を見られたくなくて…。
「……久我さん?」
「………柾」
「へ?」
記憶を思い出したとは言っていたが、まだ全部を思い出したわけじゃないらしく。
少しずつ整理している段階だと言っていたから。
俺の名前をまだ思い出してないんだ。
彼女から『久我さん』と言われることに心が痛む。
仕方ない。
全部を急になんて無理に決まってる。
分かってる。
好きだったのは俺だけだって。
彼女が言う『大好きな男の子』は、友達としてなんだと。
「えっと……、あの……」
「もう少しだけ」
「え?」
「ごめん、あと少しだけこうさせて」
「…………はい」
心臓がけたたましく鳴り響く。
あまりにも突然訪れた『再会』に、気持ちが追い付かない。
俺の体形が変わったように、彼女も変わった。
けど、屈託ない笑顔は今も健在で。
色々なものをすり合わせたら分かりそうなものなのに。
何で気が付かなかったんだろう?
「外食はまた今度にしよう」
「あ、………はい」
顔を持ち上げた俺は彼女の手を掴んだ。