イケメン検事の一途な愛
「何だか緊張しますね」
「フフッ、……敬語になってる」
「あ……」
荷物を持って二人で肩を並べて石畳を歩く。
彼女の安全第一に考えて、尚且つ消えた15年を埋めるべく訪れた場所。
千葉県のとある場所にある大人の隠れ宿。
オーシャンビューでビラになってるから他の客と会うこともない。
完全にプライベート空間の宿だ。
彼女をデートに誘い、1泊2日の旅行に連れ出した。
別に邪な考えがあるわけじゃなくて。
自宅にいたって二人きりで毎日過ごしてるわけだし。
場所がちょっと違うというだけ。
『来栖 湊』だから自宅に泊めたが、『榊 美雨』の彼女との時間を再スタートさせたくて。
何かきっかけになるものが欲しかった。
告白?
俺だけが好きなのに?
今告白したところで、『YES』が貰えるとも思えない。
今の俺の本当の姿を知って貰った上で、『来栖 湊』であり『榊 美雨』としての彼女の全てを包み込みたいから。
同じものを見て。
同じものを食べて。
同じ空間で。
同じ時間を過ごすうちに……。
彼女にも恋心が芽生えてくれたら……。
*****
70㎡を超える客室は緑に囲まれつつも海が一望できるオーシャンビュー。
日が暮れると、テラスにある中庭がライトアップされ、海が臨める露天風呂まで完備されている。
テラスに置かれた屋外用のソファーは二人で座るには十分すぎるほどの大きさ。
夕方に浜辺を散歩している間に部屋に豪華な夕食とテラスに夜空観賞用のアルコールが用意されていた。
「一緒に入る?」
「……え?」