イケメン検事の一途な愛
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夕食後に少し散歩することになって、彼と浴衣姿で敷地内を歩く。
初めて見る浴衣姿は物凄くカッコ良くて。
眼福の極みだと思う。
三日月がとっても綺麗で、思わず手を翳して手のひらに乗せるみたいにして。
数年前に仕事でフランスに行った際に現地のコーディネーターさんから教わった三日月の別名。
『クロワッサン』
その形に由来してるらしいけど、その幻想的な形は見る人を魅了する。
思わず後ろを歩く彼にそれをプレゼントしたくなった。
手に取れるわけじゃないんだけど、何となく周りの景色に流されて。
ほんの少し甘い雰囲気を味わってもいいかな?って。
振り向いたら胸がきゅんとしてドキドキしちゃいそうだから、そのまま彼の所まで辿り着くように。
歩く速度を落として彼の元に。
背後に彼の気配を感じて、掴んだ月を彼の顔元に移したら……。
じっと見つめてるものだと。
けれど、彼は夜風を感じているのか。
私の気配を感じているのか。
目を瞑って佇んでいる。
その顔が何とも綺麗で。
額にかかる、まだ濡れている髪。
長い睫毛。
鼻筋の通った高い鼻。
シャープなフェイスライン。
そして、軽く結ばれた薄い唇。
思わず見惚れてしまう。
あまりにも美しすぎて……。
知らぬ間に彼の両肩に手を置き、背伸びをしていた。
今にも彼の唇に自分の唇がついてしまいそうで……。
その時、上下する喉仏が一瞬視界に入り、我に返る。
やっばぁ~いッ!!
これじゃ痴女じゃない。
幾ら雰囲気に呑まれたとはいえ、好きでもない女からキスされたら絶対に引く。
告白する前に彼に嫌われかねない。
けれど、既にアプローチ仕掛けた手前、引くに引けず。
そっと触れるだけのキスを頬に……。