離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました

プロローグ

　純玲(すみれ)は寝起きが悪い。単純に寝るのが好きだし、眠りが深く一度寝ると目覚めるのに時間がかかる。目が覚めた瞬間シャキッと起きれる人が本当に羨ましい。
　特に前日に疲れていると翌朝はなかなか目が覚めないし、夢見が悪かった時もそうだ。覚めても体が重だるくてしばらくぼんやりしてしまう。できることならずっと布団の中にいたい。

　社会人としてそれはできないから、平日は目覚ましやスマホのアラームを早めに設定するなどして今までなんとか遅刻をしたことはない。
　だからこそ会社が休みの日はいつもよりゆっくり寝れるのが、ささやかな幸せだったりする。

（今日は土曜日だよね……んー、体が重い……）
　純玲はいつものように布団の中でぼんやりする。

（……あれ、ここ、どこ？）
　寝心地が自宅アパートのベッドではないことに気付く。サラリとした肌当たりのいいシーツの感触もいつもと違う。純玲は重い身体をむっくりと起こし、目をこすりながらやけに広々としたベッドの上に座り込む。

　ベッドルームの重厚で上品な調度品やカーテンを見回した後、ふと視線を落とすと自分がバスローブ姿であることに気付いた。
　瞬間、純玲はカっと目を見開く。一気に覚醒した。