離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
「そうそう、今日相談しようと思ってたことなんだけど、来月、オノデラ貿易の創業パーティがあるらしいの」
 母の表情が少しだけ神妙になる。

 創業50周年記念のパーティがあるらしく、親戚一同、必ず出席するように叔父から言われているらしい。

「会社がピンチの今だからこそ“小野寺家の結束”を見せたいんじゃないかな。正直面倒だけどね。でも一応、長男だし、前社長として出席しない訳にもいかないから、今回は雪乃さんと出席しようかと思っている。それで、純玲も出席するように言われてるんだ」

「私も?」

「親戚一同だから純玲もだって言うんだよ。今まで親戚扱いしてこなかったのにね。ただ単に嫌がらせなのかもしれないけど。もう嫁ぎましたって言ったら夫婦で出席すればいいって」

「一応、純玲に言わずに勝手に断るのもって思ってね」

 両親は無理して出席する必要は無いと言ってくれる。
 きっと純玲の心情を慮ってくれているのだろう。純玲としても正直気は進まない。

(でも、出席しなかったらお父さんたちがまたネチネチ言われるんだろうな……)
 祖母は他界しているが、大叔母や大叔父、それに連なる親戚もいる。なにより叔父や叔母に嫌味を言われそうだ。
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