離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
 大切過ぎて普段は使うことができないのだが、パーティには是非身に着けたいと思っていた。
 逆にこのブレスレットに合わせてドレスを選びたかった。

「……そうか。じゃあ、このドレスに決めようか」
 
 泰雅は改めて妻のドレス姿を眩しそうに見て言った。


「てっきり泰雅さんのも見るのかと思っていたのに」
 純玲は不満げに言葉をこぼす。

 ブティックを出たふたりは表参道をゆっくりと歩いていた。

 あの後、泰雅はドレスに合わせてバックや靴などを購入し、自宅に届くように手配した。しかし彼の衣装は見る事はなかった。聞くと、既にいくつか正装は持っているから不要だという。

「むしろ泰雅さんの衣装を見たかった……! 」

「俺は妻の引き立て役だから、使いまわしのでいいんだよ」

「引き立て役どころか、バリバリの主役になるに決まってるじゃないですか」

 今日の彼の服装は白いTシャツに明るめのネイビーの麻のジャケットを羽織っているシンプルなスタイルなのだが、そのシンプルさが彼の素材の良さを引き立てている。

 蒸し暑い都会の喧騒の中、彼の周りだけは爽やかな風が吹いているような気すらする。
 結局イケメンは何を着ても様になるのだ。
< 125 / 248 >

この作品をシェア

pagetop