離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
 夏休みとあって街には人が多い。そんな中、泰雅の際立った容姿は相変わらず人目を集めている。

 すれ違った大学生と思われる二人組の女子が振り返って「今の人見た?」「マジイケメン!」と盛り上がっていた。

「泰雅さん、芸能事務所にスカウトされちゃったりして」

「アメリカに行く前は実際何度かあったな」

「ひえ……それで?」

「もちろん興味ないって断った」

 半ば冗談で言ったのに、実際スカウトにあっていたと聞いて目をむいてしまった。

 この辺りは久しぶりだという泰雅と店を見ながら歩く。
 途中、裏路地に雰囲気のいいカフェを見つけて入ったりした。

 その後、純玲も知っているセレクトショップの路面店を見つけた。カジュアルでベーシックなアイテムが揃い安価ではないが、自分でもなんとか手が届く範囲の価格帯だ。

「俺も昔ここで何度か買ったことがあったな」

 どちらかというとメンズの品ぞろえが多い店なので彼も利用したことがあったらしい。
 意外な共通点に少し嬉しくなった。
 
 泰雅はその店で普段着用のTシャツを購入した。

「いい買い物ができたな」
 歩きながら泰雅は上機嫌だ。
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