離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
 いいタイミングだと思った純玲は、鞄からラッピングされた小さな袋を取り出し泰雅に渡す。

「俺に?」

 思いがけなかったのか、泰雅は驚いた顔で受け取ると巾着のリボンをほどいて中身を取り出す。

「お礼にもならないんですが、さっきのお店でいいなって思って」

「いつのまに……気付かなかったな」

 Tシャツを買った店で純玲が購入したのはレザーの2連ブレスレット。
 ダークブラウンの細いレザーが編み込まれているデザインはシンプルで落ちついているがオシャレだ。

 店頭で見かけて一目で気に入り、泰雅が店内を見ている間に『彼の贈り物にしたいんです』とこっそりと店員に話しかけ協力を仰いだ。
 どうやらうまくバレずに買えていたようだ。

 サプライズが成功してほくそ笑む純玲に目を細めながら、泰雅は早速着用する。
 男らしい彼の手首にとても似合っている。

「泰雅さんに貰ったブレスレットには到底及びませんけど、せめてものお返しです」

 純玲はブティックで着用したままにしていたブレスレットを撫でながら言った。

「いや、なにより嬉しいよ。純玲……ありがとう」
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