離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
 泰雅は飾らない言葉と共に純玲に微笑む。
 今日一日楽し気な彼の表情を見てきたが、この顔は心からの笑顔だという気がして、純玲の胸はきゅうっと締め付けられる。

「あ、あの泰雅さん、写真撮りませんか? ふたりで」

 急に思い立った純玲は、スマートフォンを取り出しながら言う。

「写真? いいな。デートの記念になる」

「……はい」

 やっぱり泰雅もデートの認識だったのだ。言葉にされると少し照れ臭い。
 純玲はスマートフォンをインカメラにしてふたりの前に翳す。するとフレームに収まるために泰雅が身体が寄せてきたため純玲の左半身が逞しい身体に密着する。

(うわぁ……)

 ものすごく恥ずかしいと純玲は内心悶絶する。身体も許し合っている“夫婦”だけれども。
 しかもスマートフォンを持っていない純玲の左手が恋人繋ぎにされ、肩口辺りまで上げられた――お互いのブレスレットが写るように。

「はい、撮っていいよ」
< 131 / 248 >

この作品をシェア

pagetop