離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
 泰雅に囁かれる。
 
 ベンチで身を寄せ合い、手を恋人繋ぎにして写真を撮るいい年したふたりは客観的に見たら、ちょっと痛いカップルじゃないだろうか。
 実際、公園にはまだ人が多い……でも、喜びが勝った純玲は頬を染めながら笑顔でシャッターを押した。

 何枚か撮った写真は夕暮れの中でも綺麗に撮れていた。
  
 何となく帰り難く、そのままふたりで身を寄せながら目の前の噴水を眺める。涼し気に水しぶきを上げるのを様子を見て、ふと純玲は子供の頃の記憶を思い出した。

「そういえば、子供の頃、家のすぐ近くに噴水のある公園があって、よく遊びに行ってました」

「小野寺の本家に住んでいた時?」

「はい。今日みたいに暑い日は特に噴水の近くで遊ぶのが好きでした。もちろんいつもお母さんと一緒でしたけど……そういえば」

 懐かしい思い出と共に引っかかる記憶があった。

「公園で、ひとりで知らない男の人に話しかけに行って、お手伝いさんに怒られたことがありました」
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