離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
「俺が決めることじゃないが、俺はご両親は本家を出て幸せになったと思ってる。愛すべき君の存在が、ふたりを自由にしたんだ。君は幸せを呼んだ天使だったんじゃないか?」

「そんな……」

 天使、なんて言われて恥ずかしいのに、彼の温かい言葉に胸が熱くなっていく。泰雅は純玲の左手を握って言う。

「純玲、他人からの悪意は必要以上に重く感じるけれど、それ以上に君を大切に思う人間がいることを忘れないでほしい。ご両親や君の友達、もちろん、俺もだ」

「……ありがとう、ございます」

(……ああ、もう認めるしか、ない)

 この時、純玲は誤魔化し続けていた自分の気持ちをとうとう受け入れる。

(私、泰雅さんが、好き……好きになってしまった)

 初恋だった人。4年前、不毛な想いを断ち切ったつもりだった。
 でも、昔と変わらない彼の優しさで包み込まれ、もう一度その想いを結びたくなってしまった。

 夫婦となって日は浅いけれど、積み重ねる日々は幸せに溢れている。
 彼と囲む朝食、交わす会話、日常の些細なやりとり、同じベッドで眠ること、そして抱かれることも――願ってもいいだろうか。この先の幸せも。

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