離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
 仕事の話なのか、泰雅は話の内容が聞こえないように純玲から距離をとりつつ話をしている。
 さっきまで重なっていた手の温もりが失われていくと同時に、純玲の心も冷静さを取り戻していった。

 麗と通話する泰雅を見て、純玲は以前事務所で見たふたりが並び立つ姿を思い出す。
 泰雅にお似合いなのは彼女のように対等に話ができる自立した女性なのだ。

「……長くかかってしまった。話の途中でごめん」

 戻ってきた泰雅は純玲の横に再び腰掛け、ふうと息をつく、やはり仕事の話だったのだろう。

「泰雅さん……さっき言おうと思ったんですけど」

「ああ」

 純玲は泰雅の手の甲に自分の両手を乗せ、その手を見ながら言った。

「ありがとうございます。私と結婚してくれて。私、両親や泰雅さんを心配させないように強くなりますね。だから、たとえ2年たたなくても泰雅さんが契約を終わらせたいと思ったら、いつでも言ってください」

 本当は彼とずっと夫婦でいる未来が欲しい。
 でも、妻が不要になった時に彼の負担にはなりたくない。契約期間に縛られることなく、いつでも終了を受け入れよう。
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