離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
 純玲は年に似合わず落ち着いた雰囲気の女の子で、神秘的な瞳が印象的だった。
 日本人の瞳は黒といいつつ実際は茶色が混じっているものだが、彼女の瞳はかなり黒に近かった。

 最初は緊張気味だった純玲も授業を繰り返すうちに自分に慣れ、“白石先生”と慕ってくれるようになった。

 努力家で学校での成績も上々、特に英語が得意で将来は英語を使う仕事がしたいと言っていた。

『洋画が好きで字幕無しで観れたらいいな、と思ったのがきっかけなんですけど』

 聞くと意外にもアメコミヒーローものが好きらしい。
 はにかんで話す様子は愛らしく、兄しかいない泰雅には妹がいたらこんな感じなのかとかわいく思っていた。

 真面目に勉強に取り組んだ甲斐もあり、純玲は無事第一志望の都立高校に合格した。
 その後、泰雅は司法修習を経て高梨・モルトレー法律事務所へ就職したが、不定期で家庭教師は続けていた。

 彼女に勉強を教え、たわいのないことを話す時間は、弁護士として忙殺され、時に厳しい現実と向き合い続けなればいけない泰雅にとって癒しになっていたのだ。

 純玲が高校3年生のある日、授業が終わると彼女が緊張の面持ちで『あの、白石先生』と切り出してきた。
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