離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
『養子縁組の破棄って難しいんでしょうか、私――相続放棄したくって』
その時初めて泰雅は純玲の境遇を知った。
彼女は自分を育ててくれた両親に感謝している一方、養子であることで今も、そして将来も両親に迷惑を掛けたくないと思っていた。
年齢に似合わない落ち着きも、我儘を言わない分別の良さも彼女の生い立ちが作り出したものかもしれない。
『血の繋がっていない私のせいで、血の繋がった人たちに喧嘩してほしくないんです』
切なげに零した言葉は彼女が長年抱えてきた本音だろう。
健気な想いと自分を信頼しきった眼差しに庇護欲が刺激された。この子を守りたいと。
養子縁組の解消に関しては手続き的には出来なくはないが、ご両親は悲しむと諭し、すぐに結論を出さなくてもいい。この先困ったことがあったら、俺が全力で力になると伝えた。
『はい……ありがとうございます。白石先生が力になってくれるなら、大丈夫ですね』
今まで誰にも言えず思いつめていたのだろう。純玲は心から安心したように笑った。
零れるような笑顔に泰雅はつい見とれてしまった。
その時から女性として意識し始め、自分の想いを自覚するまでに時間はかからなかった。
その時初めて泰雅は純玲の境遇を知った。
彼女は自分を育ててくれた両親に感謝している一方、養子であることで今も、そして将来も両親に迷惑を掛けたくないと思っていた。
年齢に似合わない落ち着きも、我儘を言わない分別の良さも彼女の生い立ちが作り出したものかもしれない。
『血の繋がっていない私のせいで、血の繋がった人たちに喧嘩してほしくないんです』
切なげに零した言葉は彼女が長年抱えてきた本音だろう。
健気な想いと自分を信頼しきった眼差しに庇護欲が刺激された。この子を守りたいと。
養子縁組の解消に関しては手続き的には出来なくはないが、ご両親は悲しむと諭し、すぐに結論を出さなくてもいい。この先困ったことがあったら、俺が全力で力になると伝えた。
『はい……ありがとうございます。白石先生が力になってくれるなら、大丈夫ですね』
今まで誰にも言えず思いつめていたのだろう。純玲は心から安心したように笑った。
零れるような笑顔に泰雅はつい見とれてしまった。
その時から女性として意識し始め、自分の想いを自覚するまでに時間はかからなかった。