離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
 しかしその矢先、純玲の母雪乃が交通事故に遭った。
 大腿骨を折るかなりの重症で一時期寝たきりになったのだ。
 不安でたまらないだろうに、気丈に母親の傍で世話をする純玲。そんな彼女を慰めることはできても、自分の気持ちを告げることなどできなかった。

 渡米後、彼女が心配だった泰雅は連絡を取り、ビデオ通話で定期的に繋がることにした。
 英会話の練習が建前だったが、お互いの近況も話した。
 純玲の母は順調に回復し、リハビリに熱心に取り組んでいる。そう話す彼女の表情も明るくなっていた。

 画面越しではあるがやはり純玲との会話は泰雅の最大の癒しだった。

 泰雅は予定通りニューヨーク州の司法試験に合格し、現地事務所で勤務する。
 そんな中、たまたま立ち寄ったマンハッタンの老師デパートで見つけたのが純玲に贈ったブレスレットだ。
 プラチナの一点もので、菫の花をモチーフとした繊細だが存在感のあるデザインは一目で彼女に相応しいと思い、迷わずその場で購入した。

 帰国したらこれを渡して今度こそ気持ちを伝えよう。
 彼女が受け入れてくれるなら結婚を申し仕込みたいとまで考えていた。
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