離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
 だが、帰国まであと3ヶ月を切った頃、画面の向こうのから聞こえた純玲の言葉に泰雅は突き落とされる。

『実は、結婚することになりそうです』

 今まで生きてきてあの時ほど喪失感を感じたことはない。
 辛うじて平静を保ちながら相手の男のことを聞けたのは弁護士として培った精神力の賜物だろう。

 照れながら話す純玲に、彼女が幸せになるならそれでいいじゃないか。相手は俺でなくてもと己に言い聞かせた。

 しかし泰雅は帰国後純玲が結婚する前に、一度だけ会い自分の気持ちに区切りをつけようと彼女に連絡を取った。

(未練がましい行動が大正解だったな)

 実際に会う純玲は画面での印象よりはるかに美しくなっていた。眩しく思いながら、ホテルの日本食レストランの個室に案内した。

 そして、泰雅は純玲が恋人に裏切られていたことを知る。

 傷ついた彼女の様子に、相手の男、佐久間肇に腹が煮えくり返るくらい怒りを覚えたが、同時に頭は冷たく冴えわたっていった 

 どうしたら、このまま純玲を手に入れられるかを考えるために。

 まずは、純玲にその場で電話を掛けさせ、しっかり別れてもらった。
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