離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
 化粧室に向かって歩いていると、泉が顔を歪ませて軽くお腹に手を添えていた。

「あたた……始まったっぽい」

「生理痛? 薬は持ってる?」

「うん。持ってるから、戻ったらすぐ飲むわ」

 以前から泉は生理痛が重いので、いつも薬を持ち歩いている。

「一度、病院で診てもらった方がいいかもね」

 純玲は泉をいたわりながら歩く速度を落とす。

「うん、一回婦人科に行ってみようかなと思ってる。ピルもらってる先輩もいるし」

「その方が安心だよね」

 純玲も泉ほどではないが、生理の時はお腹が重くなるように痛むこともある。薬を飲むほどでないのがありがたいが……そこで、ふと思う。

(そういえば、今月、生理来てない?)

 確か前回は前月の頭だった。そう考えると2ヶ月弱きていない。

 たまに遅れる時もあるからそこまで深く考えていなかったが、2ヶ月近く間が空くことはなかった気がする。

 何気なく頭に浮かんだ事実が、ある可能性を孕んでいることに気付き純玲はヒュッと息を飲む。

(まさか……でも……)

 心当たりが無い訳ではない。先月泰雅とデートしたあの夜だ。一度だけ、お互いに余裕がなく彼は配慮できないまま……。

「え、純玲、どうかした?」
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