離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
 優秀な弁護士なだけに、彼が扱う内容の規模も金額も大きく、高難度であるこることは理解している。
 でも本人が倒れてしまっては意味がない。

「心配かけてすまない。俺しか受けられない大事な案件なんだ。あと少しで……決着をつけたいと思っている」

 そうしたらもっと君とゆっくりできるな、と泰雅は呟いた。

 食事が済み、片づけを終え、ふたりで同じベッドに入る。

「明日は休みだろう? ゆっくり寝てていいから」

 泰雅はふんわりと純玲の身体を抱きしめてくれる。

「でも泰雅さんは出勤ですよね」

「先方との約束の時間が遅いから大丈夫だ。だから心置きなく寝坊していいぞ」

 心地よい囁きに身体の力が抜ける。

「はい、わかりました……泰雅さんもゆっくり寝てくださいね」

「ああ、わかった……おやすみ」

 お互いを気遣い、こうして温もりを分かち合うことはなんて幸せなんだろう。
 泰雅に髪を撫でられ、純玲は心地さと共に目を閉じたのだが……いつもすぐやってくるはずの眠気が今日は訪れない。
 
 妊娠したことを知ってから半日もたっていない。冷静に受け入れたつもりでも、まだ気持ちが高ぶっているのかもしれない。
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